梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

中国の利上げと元高期待

http://www.nytimes.com/2006/04/28/business/worldbusiness/28yuan.html?_r=1&oref=slogin
http://ameblo.jp/kadokura4/entry-10011882323.html

 まあもちろん貸出金利のみ0.27%あげたからってすぐになにか国内経済に影響を与えると言うものではないと思うし、Blanchard=Giavazziの論文で示唆されていたように財政政策=拡張、金融政策=引き締め、というポリシーミックスが中長期的には望ましいだろうとは思う。

 ただ、同時期にこういう政府発表があったことや、NYTの記事で"it may potentially brake China's voracious appetite on world markets for oil and other commodities"という指摘がなされていることからもわかるように、この利上げがアメリカ国内での中国の急速な台頭に対する反発をかわすという「外向き」の目的で行われたのは明らかだろう。その一方で、国内経済については依然として「需要不足」「デフレ懸念」を指摘する声も強い。

 そういった状況での、しかも実に中途半端な幅での利上げなので、今後海外からの資金の流入による元高圧力が一層高まるのは必定かと。この点に関してはSun Binによるエントリ「元高でしょう?」が、おなじみのマッキノンの所説をはじめ、Deepak Lalによるプラザ合意移行の日本経済に対する解説、マッキノンによる「元高シンドローム警戒論」を批判したNouriel Roubiniのブログ記事(記事自体には批判的な言及がなされている)、などが紹介されていて、大変読みごたえがある。

 しかしそれにしても最近著名な経済学者たちがこぞってブログとかで中国経済を論じるようになったな。嬉しいような気もする反面、われわれのような極東のしがない中国屋は商売あがったりというか、これから自分達は何をやっていけばいいのでしょうという気分にふととらわれなくもない。