梶ピエールのブログ

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矢吹先生の『マオ』評、キターーー!

http://www.21ccs.jp/china_watching/DirectorsWatching_YABUKI/Directors_watching_19.html

たとえばベストセラーの上位に並ぶユン・チアン夫婦著『マオ・誰も知らなかった毛沢東』も、敢えて率直に書けば俗悪の部類だ。前著『ワイルド・スワン』は著者三代の家族史を現代中国史に位置づけて好評であった。しかし今回の『マオ』は失敗作と決めつけざるを得ないシロモノだ。大新聞の書評などで中国現代史に疎い素人教授たちが繰り返し「問題作」などともてはやすので、私のところにも真偽の問い合わせが少なくない。

このようなフィクションが史実と誤解されるのは困る。出版社の商業主義に利用されて恥じない素人教授たちの責任も大きい。日本に欠けているのは、『ニューヨーク・レビュー』のような独立した書評誌ではないかと痛感する。

21世紀中国総研事務局コメント:矢吹晋ディレクターの本エッセイは長大書評『マオ;誰も知らなかった毛沢東』のほんのエッセンスに過ぎない。400字詰70枚余に上る全文は近く刊行予定の21世紀中国総研編『中国情報源』2006-2007年版に掲載する。

・・こういう大家におよそ似つかわしくない(山形浩生的な?)大人げのなさ、いいなあ。

※追記: 気がついたら『マオ』関連のエントリが多いので、新たにカテゴリを設けました。