梶ピエールのブログ

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藤本 隆宏・新宅 純二郎編著『中国製造業のアーキテクチャ分析 (経済政策分析シリーズ)』ISBN:4492521542

 藤本先生を中心に数年前から中国での精力的な現地調査を重ねてきた研究グループの成果発表。とうとう出ました。

中国における乗用車の生産は、大きく分けて外資メーカーの既存のモデルの「すり合わせ型アーキテクチャ」をまるごと導入したものか、あるいはさまざまな外資系部品メーカの製品を「寄せ集め」て組み立てたものに二分されるが、特に後者の場合、具体的にどのような部品の「寄せ集め」によってつくられているかが具体的に指摘されていてなかなか楽しい。
 例えば数年前NHKで「中国の本田宗一郎」として持ち上げられたこともある吉利自動車の「豪情」という機種に使われているのは、シャレードのコピー車体、トヨタから購入したエンジン、アイシンのトランスミッション、ベンツのヘッドライト(コピー)、広州本田から購入したバンパー、などなどで、地元の自動車専門誌から「スーパー・コピーショー」だという批判をあびているとのことである(第8章)。

しかし、中国に限らず最近はベトナムやインドにも触手を伸ばそうとする藤本グループのエネルギーはすごい。結局はコアになる技術を極めたところが強い、というのはなにもものづくりの話だけではなさそうである。