16日からのNHKハイビジョン特集(後8:00〜9:50)は力作ぞろいである。こういう番組を目立たないところで作っているからやはりNHKは侮れない。
http://www.nhk.or.jp/bs/hvsp/
5月16日(月) 家路 中国農村部・ある家族の崩壊
5月17日(火) 「麦客(まいか)」− 中国・激突する鉄と鎌
5月18日(水) 天山蜜に挑む 蜂客6000キロの旅
5月19日(木) 明星を夢みて 若者たちのチャイナドリーム
17日の「麦客(まいか)」は数年前放送された名作の再放送だが、バグワティの本でも指摘されていたグローバリゼーションの負の側面「取り残されることによって以前よりもっと貧しくなる貧困層」の実像がもろに描き出されている。もっともそれを「問題はグローバリゼーションではなく国内政治のまずさだ」と切り捨ててよいかどうかは、中国くらいのスケールの国家になるとかなり微妙な気がするが。
それにしても、グローバリゼーションという言葉をみると反射的に批判するくせに、「東アジア共同体」や「リージョナリズム」という言葉に対してはやけにに甘い顔を見せる傾向がおありの左翼諸氏は、とりあえずバグワティの本と、それから先日紹介した原田泰さんの論考を読んでもう一度出直して欲しい。たとえアジア限定であろうと域内の経済統合が進んだ状態で国内市場の統合がうまくいかずそこから取り残される層が出てきた場合、これまで以上に厳しい貧困に直面するというのはグローバリゼーションのケースと全く同じなのだが。