梶ピエールのブログ

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まっとうなフェアトレードの経済学


 フェアトレード運動については今までどちらかと扱うのを避けていたのだが、前回予告したので、頑張って論じてみる。一般的にはフェアトレード運動も反スウェットショップ運動と同じく先進国の「倫理観」に支えられた理想主義的な運動だと思われがちである。しかし本当のところはどうか、ということを考えてみたい。

 さて、フェアトレードの対象となる商品は工芸品や衣類も含め多岐にわたっている。しかし最も影響力が大きく、市場浸透率も高い商品はというと、それはコーヒーだということに意義を挟む人はあまりいないだろう。もちろん、コーヒーがフェアトレードの主力製品になっていることにはきちんとした理由があるし、したがってフェアトレードの存在意義を論じるうえでもコーヒーは最適の題材であるはずだ。

 で、世界のコーヒー貿易とフェアトレード運動の関わりについて、僕が知っている限り最も明確な説明を行っているのが、すでにあちこちで話題になっている以下の本である。

まっとうな経済学

まっとうな経済学

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コーヒー貿易の関連で

Open-Economy Politics: The Political Economy of the World Coffee Trade

Open-Economy Politics: The Political Economy of the World Coffee Trade

 バークレーの古本屋で購入したままほうってあった上の本をぱらぱらとめくってみたのですが、思いのほか面白そうなのですよこれが。これまで日本ではほとんど話題になってこなかったと思うけど、隠れた名著の予感が。特にICO(世界コーヒー機構)の挫折の分析など、そのままアクチュアルな問題意識とつながりそう。というわけでまた気が向いたら内容を紹介するかもしれません。