- 作者:船橋 洋一,G・ジョン・アイケンベリー
- 発売日: 2020/08/07
- メディア: 単行本
船橋洋一さんよりご継投いただきました。香港のタブロイド紙アップル・デイリー(蘋果日報)の創始者、黎智英(ジミー・ライ)氏らが香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで逮捕されるなど、まさに自由主義の危機ともいえる事態が進行している中で、日本のリベラリズムを代表する知識人のおひとりである船橋氏がこのようなタイトルの重厚な論集を出版されることの重みを、改めてかみしめたいと思います。
訳者のおひとりである倉田徹さんからご恵投いただきました。あとがきで書かれているように日本では香港に対する関心が急速に高まる中、「香港史」に関する専門書が非常に少ないという状況がありますので、貴重なお仕事だと思います。
朝日新聞の日曜版GLOBEで、「それは「監視」か「見守り」か」という監視社会をテーマにした特集が組まれています。
そこに、編集部のインタビューに答える形で下記のような記事を寄稿しています。
2億台以上ものカメラが市民の生活を監視する中国。企業は人びとのネット通販やスマホ決済の利用履歴を収集し、膨大な個人データをもとに国民一人ひとりを格付けする「監視社会」だ。しかし、「幸福な監視国家・中国」(NHK出版新書)の著者である梶谷懐・神戸大教授によると、多くの中国人は現状にむしろ肯定的だという。なぜなのか。
この特集はほかにも、中国やアジア社会の監視社会が大きなテーマになっています。特にコロナウイルス対策で個人情報を利用した接触アプリなどの導入が一気に進みつつある現状を考えると、こういうテーマについて深く考えることの重要性は高まっているように思います。
国境を越える危機・外交と制度による対応: アジア太平洋と中東 (危機対応学)
東大社研で2016年から開始された「危機対応の社会科学」プロジェクトの研究成果の論文集です。伊藤亜聖さん、佐橋亮さん、丸川知雄さん、が日中関係に関する論考を寄稿されています。
序章 国境を越える危機 ―その原因、対応と帰結、そして予防 保城広至
第Ⅰ部 危機の原因と直接的対応第1章 アジア・中東 ―危機と秩序の構図 保城広至
第2章 戦後日米同盟の危機とレジリエンス ―安倍=トランプ政権下での日米同盟の二つのシナリオと危機対応策 西川 賢(津田塾大学)
第3章 米中関係と危機 ―政治的意思による安定とその脆弱性 佐橋 亮(東京大学)
第Ⅱ部 危機の帰結第4章 「危機的」な日中関係と対中感情温度 伊藤亜聖
第5章 日韓協力の促進材としての国際危機 曺良鉉(韓国国立外交院)
第6章 アジア通貨金融危機と中央銀行の独立性強化 ―IMFと危機の責任の政治 岡部恭宜(東北大学)
第Ⅲ部 危機の予防第7章 戦争の危機と重要施設の移転 ―日中の比較史 丸川知雄
第8章 危機対応の制度化としての予防外交 ―OSCEモデルの中東への適用案 中村 覚(神戸大学)
第9章 仮想通貨(暗号通貨)をめぐる危機と規制 中川淳司(中央学院大学)
おわりに 保城広至
付録 政治危機年表・経済危機年表 松岡智之・保城広至