梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

緊急更新その2

前回もそうですが「緊急」というのはあくまでも「なかなか更新する気が起きないが、このネタぐらいは押さえておくか」という個人的な気分を表したものであり、世間的な意味は全くありませんのでご注意下さい。


http://www.php.co.jp/magazine/voice/

 この雑誌は、巻頭におかれた円高と成長との関係がどうの、というネタとしか思えない論考にどうしても目が行ってしまいがちである。が、ここで触れておきたいのはそのことではなくて・・・同誌の比較的目立たないところ掲載されている水谷尚子氏の「ウイグルの襲撃事件はテロか」は、この人が書いたウイグル問題に関する論考の中でも、現状に対する見通しのよさという点では出色のものである。断言するが、今後この問題を語ろうとする者は、最低限ここに書かれているようなことは押さえておくべきである。また、そのこととは別に、以下のような水谷氏の姿勢には、あらためて全面的な賛意を表明しておきたい。

筆者は、「フリー・ウイグル」のような日本人による対中抗議デモが、時に持ち合わせる「排外性」や、「借りてきた正義で、当事者でない者が当事者に代わって中国を糾弾するという姿勢」にあまり同調できない。保守派言論人には、少数民族を使って「『対中包囲網』へ結束(『東京新聞』7月20日付国際面)」させるなど、旧日本軍の亡霊のような発想で漢人ウイグル人のさらなる対立構造を煽るような攻撃的言説をするものがいる。隣国に生きる者として、中国が抱える民族問題に対峙するには、「小さき声」を丹念に拾い上げ「仲介者」としての役割を果たしていくしかない、と筆者は考える。