梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

KIVA

 9月8日にNHKBSで放送された社会起業家に関するドキュメンタリーで紹介されていた、インターネットを通じたのマイクロクレジット事業“KIVA”のサイト。
http://www.kiva.org/

以下はNHKの番組紹介ページより。

“KIVA”(スワヒリ語で"きずな“の意味)は、一般の個人が一口25ドルを融資して途上国の人々を支援する社会派ベンチャーである。サンフランシスコに住むマット・フラナリー(30歳)が妻と共に2年前に始めたホームページで、1000万ドル(約11億円)以上を集め、世界30カ国以上に融資している。フラナリー夫妻がこうした融資を最初に始めたウガンダでは、これまでに約500人が融資を受け、ピーナッツ・バターの小売商やタクシー運転手など自営業者が次々に誕生している。途上国の貧困の解決をめざす活動を追う。

 トップページの“LEND”のところから実際に融資を必要としている人々の情報を検索できる。番組で紹介されていたウガンダのFlorence Oryangさんのページは以下の通り。
http://www.kiva.org/app.php?page=businesses&action=about&id=14197

 似たような試みはもちろんほかにもたくさんあって、id:devecon:20070821さんが紹介しているグローバルギビングもその一つ。
http://www.globalgiving.com/

、投資家がサイトに登録して、資金を必要としている事業者やプロジェクトのなかからこれはと思うものものを選んでオンラインで投資を行い、集まったお金は現地NPOなどを通じて資金の需要者に渡る、という仕組みはたぶんKIVAと同じだ。資金を受け取る側と出す側がネットを通じてコミュニケーションするようになっている点も共通する。ただこれは融資ではなくあくまでも援助が基本になっている。

 比較した場合、融資タイプのほうがより多くの資金を集められるかもしれない反面、運用面での困難も抱えていそうだ。世界各地への送金コストをできるだけ低く抑える必要があるからだ。この点を技術的にクリアした点にもともとシリコンバレーのエンジニアだったという創始者の「社会起業家」としての真骨頂があるのだろう。

 一方、グローバルギビングの対象となるプロジェクトには、環境問題や人権問題への取り組みなど政治的な目的が明確だったり必ずしも商業ベースに乗らないものが多数含まれているのが特徴だ。おそらく今後KIVAのようなあくまでもビジネスへの融資を行う事業と棲み分けがなされながら発展していくのではないだろうか。

 僕も上記の二つのサイトにとりあえずサイン・アップだけはしたので、しばらく継続的に関心を持ってみていこうと思う。