梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

木村幹さんへのメール

 勤め先に着いたらなんと木村幹さんご本人から「はてなの書き込み読みましたよ」とのメールが来ていて、一瞬焦る。まさか読まれているとは・・(誰が知らせたんだろう?それともgoogleから?はてな恐るべし!)
 いただいたメールの内容については要約して掲載する了解を取っているのだが、メール自体を職場のPCに残してきてしまったので、とりあえずこちらがあわてて書いた返事のメール(若干の修正済み)を公開しておく。ああ、これでいい加減なことを書いたり三日坊主でやめたりできなくなっちゃったな、と考えるのは自意識過剰だろうか。

木村幹先生;

 ご無沙汰しております(覚えておられないでしょうが10年ほど前事務局をしている中国現代史研究会のシンポジウムでコメンテーターをお願いした時に少しお話したことがあります)。

 はてなダイアリーの機能もよく知らないままお試し期間のつもりでこっそり書き込んだ駄文がまさかご本人の目に留まり、まして丁寧なコメントまでいただくことになろうとはつゆ思っておらず、メールをいただいて感激したのが半分、あわてふためいたのが半分というのが正直なところです。

 お分かりかと思いますが、あの文章は先生のご著作の内容に対してあれこれ突っ込もうとした、というより、日々学生と接していてむしろ彼らの2ちゃんねる・「ゴー宣」的な嫌中・嫌韓意識のあまりの「希薄さ」に拍子抜けすることが多い一介の私大教師として、この本から受けとる自分なりの課題はどういったものか考えてみよう、というつもりで書いたものです。

 つまり、こちらとしては「2ちゃんねる的なもの」を批判するというスタンスで教育を行いたいのだが、そのためにはまず一旦学生たちの「プチ・ナショナリズム」を煽ってやる必要があるのではないか。このような一種倒錯した状況のなかで学生たちを前にどう振舞ったらいいのか、それを考えることがとりあえず現代のアジアに関する諸問題を扱う教育者の端くれとしての自分の課題だと考えています。先生にとってはご著作がこのような文脈で勝手に読まれるのは本意ではないでしょうが・・

 イデオロギーに左右されてきたこれまでの半島研究を批判された箇所は大変痛快に感じました。中国研究者の中でも共感を抱いた人が多いのではないかと思います。
 先生の今後の一層のご活躍をお祈りします。