梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

民族

お仕事のお知らせ

『ニューズウィーク日本版』のウェブ連載「中国の『監視社会化』を考える」、第5回目(最終回)が公開されています。www.newsweekjapan.jp 中国のなかでも新疆ウイグル自治区における監視は、社会の安定のためには人権も顧みない最も抑圧的なものだ。最新の…

お仕事のお知らせ

1月7日(月)発売の、『週刊東洋経済』1月12日号のコラム「中国動態」に、「新疆ウイグル自治区で復活する『労働教養所』」という記事を寄稿しました。 新疆ウイグル自治区の各地に建設された、「再教育キャンプ」と呼ばれる大規模な収容施設とその非人道的…

いただきもの

チベットの焼身抗議 (太陽を取り戻すために)作者: 中原一博出版社/メーカー: 集広舎発売日: 2015/10/05メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る 版元よりご恵投頂きました。池谷薫監督によるドキュメンタリー映画「ルンタ」(公式サイトはこちら)…

中国の現状と分析者の立つ位置

前回のブログエントリで、言及した平野聡氏の論説について、「その烏坎村の「自治」をめぐる評価には基本的に同意するものの、タイトルの「真の民主」という表現を含め、若干の違和感を抱いた」と書いた。しかし改めて彼の文章を読み返すと、どうしても違和…

ウイグル人ジャーナリストの釈放を求める声明

このブログで伝えてきたハイラット(ガイラット)・ニヤズ氏の裁判の件については、その後日本でも、下にも書いたように本ブログの情報発信に遅れること5日にして、ようやく共同通信が配信した。しかしその内容たるや・・「外国メディアの取材を受け、コメン…

ウイグル人ジャーナリストの公判そして有罪判決

昨年7月5日にウルムチで起きた騒乱から一年が過ぎた。いくつかのメディアが一周年ということで報道を行ったようだが、日本語のものは英語メディアに比べ圧倒的に量も少なく、特筆すべきものもなかった。それと平行して新疆への大規模な「対口援助」(中国の…

『虹色のトロツキー』のその後

2008年3月のチベット騒乱以降、日本でも中国の少数民族問題を論じた書物が書店で数多くみられるようになった。本書も、その流れの中での出版と位置付けることも、あるいは可能かもしれない。それならばネット上などでもう少し話題になってもよさそうなものだ…

衝撃の書物

墓標なき草原(上) 内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録作者: 楊海英出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/12/18メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 38回この商品を含むブログ (10件) を見る墓標なき草原(下) 内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の…

『世界』12月号「さよなら、イリハム」について

遅ればせながら、『世界』に翻訳が掲載された黄章晋氏の「さよなら、イリハム(再見、伊力哈木(鈴木将久訳)」は中国の民族問題を語る上で必読のテキストである。さすがに「この文章を読むために雑誌を買う価値がある」、とまではよう言わんが、少なくとも…

商人の倫理、統治の論理

中国ではブロックされて見ることが叶わなかったkokさんのブログの記事より。 同じような“非民主主義国”でも、ロシアには、アンナ・ポリトコフスカヤというチェチェン問題を自らの命をかけて追及したジャーナリストがいる。彼女の暗殺が、ロシアの暗黒部分を…

属地的自治と属人的自治

http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20090903の続き。塩川伸明『民族とネーション』より再引用。 オーストリア社会民主党の1899年のブリュン綱領は、オーストリアの民主的他民族連邦国家への転化を目標として掲げた。その前提には、属地主義に基づいた民族別地域…

福本勝清氏によるアジア的停滞論に関する連載

前回に引き続き、むっちゃ刺激的で面白いです。平野義太郎と大上末広がこのように批判されることに全く異論はないが、だとすると尾崎秀美などはどのように位置づければよいのだろうか?http://www.21ccs.jp/soso/chinateki/chinateki_32.htmlより。 例として…

中国の異民族支配

(1)、(2)、(3)、(4) 野口信彦氏による連載。とても勉強になる(ただし、記事は下から順番に並んでいるので注意)。ちなみに、野口信彦さんの『シルクロードの光と影』は、そのすばらしい写真も含めて、とてもよい本だ。こういう時期だからこそ、…

ウルムチ情勢・その後 

9月に入って、ウルムチの情勢がとても悪化しているようだ。日本でも伝えられた「注射針」事件が原因とされるデモの後、中国政府が徹底した情報規制を行っているので(香港のジャーナリストが武装警察に一時拘束され暴行を受け、問題になっている)、本当に断…

ルクセンブルグVS.レーニン

国際ローザ・ルクセンブルク学会ウェブサイト開設記念(http://d.hatena.ne.jp/akamac/20090902/1251901228より)http://neto.blog10.fc2.com/blog-entry-4505.htmlより。 ローザが中国で人気なのは長らくソ連で批判を受けた身であると共に、民族自決を否定…

メモ

産経新聞の佐々木正明記者によるラビア・カーディル氏会見のまとめ。 http://sasakima.iza.ne.jp/blog/entry/1152384/ 記事のもとになったメモはみなtwitterによりリアルタイムで配信されたもので、その意味でも注目される。佐々木記者のtwitterでの以下のよ…

<中国人>の境界

中国の異民族支配 (集英社新書)作者: 横山宏章出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/06/17メディア: 新書 クリック: 20回この商品を含むブログ (8件) を見る 本書は新書ということを差し引いてもその記述がいささか荒っぽく(この文章はそれをさらに荒っぽく…

イリハム・トフティ氏の解放を求める署名運動

7月5日のウルムチの事件に関しては、その後日本のメディアも積極的に独自の取材などを行っているが、実態については依然として未解明の点があまりに多い。 その中で、日本のメディアではほとんど報じられてないが重要な動きがあった。現在中央民族大学教授で…

弱者が弱者を食い物にする

ウルムチの事件に関する報道は今日も続いたが、テレビではやはり「報道ステーション」が頭一つ抜き出ているという印象を持った。たとえば、同じデモ行進をするウイグル人女性を写しても、NHKの報道では彼女らをあくまでも「群体」としてしか捉えていない…

7月5日ウルムチでの騒乱に関して

最初日本のメディアは新華社のニュースをそのままタレ流すだけでやはりダメだと思ったが、6日の報道ステーションはかなり時間を割いて双方の言い分を報道するというスタンスで、水谷尚子氏にも取材を行うなど、かなり頑張っていた。ただコメントが加藤千洋氏…

文革と内モンゴル

Acefaceさんのコメントより。 これお読みになりました?静岡大学の楊海英(モンゴル名はオーノス・チョクトさんでしたが、どうやら最近帰化されたようです。名前が大野旭さんになっていました。)けっこう楊さんの著書のトーンが少しづつ変化していたので、…

トフティ・テュニヤズ氏釈放

『産経新聞』の報道より。 【北京=矢板明夫】東京大学大学院に留学中の1998年2月、一時帰国した中国で国家分裂を扇動したとして逮捕された、新疆ウイグル自治区出身のウイグル人男性、トフティ・テュニヤズ氏(49)が10日、11年の刑期を終えて釈…

緊急更新その2

前回もそうですが「緊急」というのはあくまでも「なかなか更新する気が起きないが、このネタぐらいは押さえておくか」という個人的な気分を表したものであり、世間的な意味は全くありませんのでご注意下さい。 http://www.php.co.jp/magazine/voice/ この雑…

エクリチュールの差異

いつも渋い書籍が紹介されているブログ「ものろぎあ・そりてえる」で、ウイグル問題についての文献がいくつか紹介されている。 http://barbare.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/blaine_kaltman_.html http://barbare.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_64…

立腹などしていませんが、何か?

http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20080715/p2 断っておくと僕が「立腹」しているというのは厨先生の勝手な判断であって、こちらはどちらかというと穏便にスルーしようと思っていたわけで、だからこそ「体制サイド」の考えを直接知る上でより有用だと…

ウイグル人とナイフ

http://kok2.no-blog.jp/tengri/2008/07/bb82_f6d7.html http://kok2.no-blog.jp/tengri/2008/07/post_f087.html 公式報道は中国公安がアパートで火器や爆弾を発見してはいないが何本ものナイフを発見したことを主張している。しかし伝統的ウイグルナイフは…

「新疆」とウイグル人をめぐるステレオタイプ

http://www.thenewdominion.net/170/online-humor-affirms-xinjiang-stereotypes/ http://msittig.wubi.org/imgs/china-map-beijingers.jpg 「小偸的老家」とは「スリ(あるいはこそ泥)の故郷」を意味する。僕も北京にいるころは「新疆村には子供のスリが多…

GJ!

先日紹介した「皇甫平」によるチベット問題についての論説ですが、なんとふるまいよしこさんが全文を訳してブログで公開されています。必見かと。 http://wanzee.seesaa.net/article/95639796.html#more

皇甫平、チベット問題を論ず

今日気がついたのだが、中国のリベラル勢力を代表する経済誌『財経』のウェブ版になんと「皇甫平」名義によるチベット問題を論じる論考が掲載されていた。http://www.caijing.com.cn/todayspecx/cjkx/2008-04-30/58921.shtml http://www.caijing.com.cn/toda…

「可視化される他者」とナショナリズム

例えば、大澤真幸氏は、ナショナリズムの「起源への関心」について次のように述べている(『ナショナリズムの由来』377ページ)。 ナショナリストは、ネーションの起源を、ネーションの領域からいくぶんかずれた外側に―いわば隣接的な外部に―見出す傾向があ…